1人1室(3)

あのときそれから(平成26年11月15日付朝日新聞)で、「ウサギ小屋」流行語に(1979年)という特集記事を載せています。その中で、「戦後の住宅政策と5カ年計画」という概略年表も載っています。第二期住宅建設五箇年計画では、1968年の住宅数が世帯数を始めて上回った統計に合わせるように、その目標は、「1人1室」の実現に置き換わってきています。これは、前項で指摘しておきましたが、1住宅の中の規模を表したものでした。標準家族(夫婦に2人の子供世帯という核家族型)が、1住宅を構えるときの規模設定です。ここから3LDK(夫婦は同一居室、平均居住水準86㎡)というおなじみの住宅型が好まれて建設されだされたわけです。

 これも戦後一貫した持ち家取得政策の中で、瞬く間にクリアーされました。

 そして、今では、人口減少社会の中で大都市においても「空き家」の発生が問題視されるようになりました。

 平山洋介神戸大学教授は、同特集の中で、「持ち家重視を続けた結果、低家賃の公営住宅が全戸数の4%で、住宅セーフティネットが無い状態。」と指摘しています。

 「1人1室」という目標は、単純な規模の問題ではなく、一人ひとりの個人が、一つの居住空間を保障されているという目標にすべきと考えます。